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第21回【カードゲーム】「リーチ!」【ワードバスケット】|縛りがあるから言葉が出る、早い者勝ちのしりとり

【カードゲーム】「リーチ!」【ワードバスケット】 ゲームから学ぼう
もんとり
もんとり

場のカードは「た」。手札には「す」「こ」「め」「ぬ」「ろ」。

 

「た」で始まって、手札のどれかで終わる言葉。たこ、ではダメです。3文字以上でないといけない。たまご……は「ご」が手札にない。頭の中で五十音を高速でめくっていると、隣の人が叫びます。

 

「たけのこ!」

 

カードが箱に放り込まれ、場は「こ」に変わる。考え直しです。今度は向かいの人が「こめ……こめだわら!」と言いかけて、手札に「ら」がないことに気づいて固まっている。

 

ワードバスケットは、順番のないしりとりです。思いついた人から、好きなときに出していい。だから全員がずっと頭を回し続けていて、テーブルが妙に静かになったり、急に騒がしくなったりします。

こんな人に読んでほしい

・しりとりは好きだけど、順番を待つのが退屈だと感じていた人

・家族や友人と、10分ほどで何回も遊べるゲームを探している人

・語彙力や頭の回転の速さを、遊びの中で試してみたい人

やってみよう!

① ワードバスケットを購入する(カード60枚と箱だけのシンプルな構成です)

② ルールを確認する(このページで一通りわかります。説明は3分で終わります)

③ ゲームを始める(「普段は3文字以上」「最後の1枚だけは4文字以上」の2つを覚えておけば遊べます)

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1.ポイント:縛りがあるから、言葉が出てくる

このゲームで身に付く力

一番使うのは語彙を引き出す力です。知っている言葉の量よりも、必要なときにすぐ取り出せるかが問われます。頭の中に辞書があっても、引くのが遅ければ負けます。

次に条件の中で考える力。普通のしりとりは「頭の文字」しか決まっていませんが、ワードバスケットは「頭の文字」と「最後の文字」の両方が決まっています。しかも最後の文字は手札の5枚のどれか。条件が増えると難しくなりそうですが、実際はその逆で、条件があるほうが言葉は出てきやすくなります。何でもいいと言われると、人は何も思いつかないものです。

そして意外に試されるのが切り替えの速さです。考えている途中で誰かが先に出すと、場の文字が変わります。それまで考えていた言葉はすべて無駄になる。未練を捨てて、すぐ次に頭を向けられるかどうかが勝敗を分けます。

【カードゲーム】「リーチ!」【ワードバスケット】01

ゲーム概要

ワードバスケットは、2002年に発売された日本のカードゲームです。作者は小林俊雄さん、販売はメビウスゲームズ。20年以上売れ続けている、日本語の言葉遊びゲームの定番です。

カードにはひらがなが1文字ずつ書かれています。これに加えて、「あ行」「か行」のように行ごとに使えるカードと、「5文字」「6文字」のように文字数を指定するカードが入っています。

名前の「バスケット」は、ゲームの箱そのものを指しています。言葉を言いながら、カードを中央に置いた箱へ放り込む。この動作があるので、ただのしりとりより体が前のめりになります。

プレイ人数は2〜8人、1回は10分ほど。対象年齢は10歳以上です。

ゲームのルールとポイント

ルール①:場のカードの文字で始まり、手札の文字で終わる言葉を言う

全員に手札を5枚ずつ配り、山札から1枚めくって箱に入れます。これが最初の場のカードです。

場の文字で始まり、自分の手札のどれかの文字で終わる、3文字以上の言葉を考えます。思いついたら言葉を言いながら、その最後の文字のカードを箱に入れます。場が「た」で手札に「こ」があれば、「たけのこ」と言って「こ」を出す。すると場は「こ」に変わります。

言葉は基本的に名詞で、みんなが知っているものなら人名や地名も使えます。条件に合わない言葉を言ってしまったら、そのカードは手札に戻して、山札から1枚引きます。

【カードゲーム】「リーチ!」【ワードバスケット】02

ルール②:順番はない。思いついた人から、いつでも出していい

ここがワードバスケットの一番の特徴です。手番がないので、全員が同時に考えています。2人がほぼ同時に出した場合は、先に箱に入って下になったカードの人が優先されます。

特殊なカードもあります。「あ行」「た行」のような行のカードは、その行のどの文字としても使えます。「5」「6」「7+」のような数字のカードは、その文字数の言葉なら最後の文字は何でもかまいません。手札が悪くて出せそうにないときは、手札をすべて捨てて、捨てた枚数より1枚多く引き直すこともできます。

ルール③:残り1枚になったら「リーチ」。最後は4文字以上で上がる

手札が残り1枚になったら「リーチ」と宣言します。宣言を忘れて他の人に指摘されると、罰として山札から1枚引くことになります。

そして最後の1枚だけは、3文字ではなく4文字以上の言葉で出さないといけません。あと1枚なのに、ここで急に難しくなる。リーチをかけてから上がれずにいるあいだに、他の人に追いつかれることもよくあります。

得点の数え方

得点の計算はありません。最初に手札をすべてなくした人が勝ちです。

1回が10分ほどで終わるので、何回か続けて遊び、勝った回数を数える遊び方がおすすめです。

2.必要な準備

事前準備

・プレイヤー2〜8人(4〜5人だと、場の文字がちょうどいい速さで変わって盛り上がります)

・判定役を決めておく(その言葉がありかどうかで揉めることがあります。迷ったら多数決、と最初に決めておくとスムーズです)

用意するもの

・ワードバスケット本体(カード60枚と箱)

・テーブル(全員の手が中央の箱に届く距離で座ってください)

3.参考例:初心者が知っておきたい3つのコツ

(1)場の文字ではなく、手札の文字から逆算する

初めて遊ぶ人は、場の文字から言葉を考え始めます。「た」で始まる言葉、たいこ、たまご、たぬき……。でもこれだと、思いついた言葉が手札の文字で終わる確率は低い。

先に手札を見て、「こ」「め」「す」で終わる言葉を頭の中に用意しておきます。場が変わったら、その中から頭の文字が合うものを探す。考える方向を逆にするだけで、出せる速さがかなり変わります。

(2)出しにくいカードから先に手放す

手札には、出しやすいカードと出しにくいカードがあります。「こ」「た」「か」で終わる言葉はいくらでもありますが、「ぬ」「へ」「ゆ」で終わる言葉はなかなか出てきません。

出しやすいカードばかり先に使ってしまうと、最後に出しにくいカードだけが残って、そこで止まります。しかも最後の1枚は4文字以上の縛りがある。チャンスがあれば、出しにくいカードから先に手放してください。どうしても無理なら、手札の全交換も使えます。

(3)長い言葉にこだわらない

うまいことを言いたくなる気持ちはわかります。でも、このゲームは早い者勝ちです。凝った5文字の言葉を考えているあいだに、誰かが「たまご」で場を変えてしまいます。

3文字で出せるなら、3文字ですぐ出す。最後の1枚の4文字以上の縛りに備えて、長い言葉は取っておけばいいだけです。考えている時間が一番もったいないゲームだと思ってください。

【カードゲーム】「リーチ!」【ワードバスケット】03

4.まとめ:何でもいいと言われると、人は何も言えない

ワードバスケットを遊んでいて気づくのは、縛りがあるほうが言葉が出てくるということです。

「何か言葉を言って」と言われても、意外と何も浮かびません。ところが「『た』で始まって『こ』で終わる3文字以上」と言われると、頭が勝手に探し始める。条件が多いほど、探す範囲が狭まって、かえって見つけやすくなります。

これは仕事のアイデア出しでも同じで、「自由に考えて」より「予算10万円で、来月中に」と言われたほうが、具体的な案が出てきます。以前に紹介した『クリエイティブの授業』にも、制約は創造の敵ではないという話がありました。ワードバスケットは、それを10分で体感できるゲームです。

【カードゲーム】「リーチ!」【ワードバスケット】04

ルール説明は3分、1回は10分、カード60枚と箱だけ。子どもと大人が対等に戦えて、しかも大人のほうが焦る。集まりの最後に「もう1回だけ」が何度も続くゲームです。

関連おすすめボードゲーム3選

ナンジャモンジャ

プレイ人数:2〜6人|プレイ時間:約15分|対象年齢:4歳以上

謎の生き物のカードに名前をつけ、同じカードが出たらその名前をいち早く叫ぶゲームです。ワードバスケットが「すでにある言葉を探す」ゲームなら、こちらは「その場で言葉を作って覚える」ゲーム。早い者勝ちで叫ぶ点が共通していて、ワードバスケットより低い年齢から遊べるので、小さな子どもがいる場ではこちらから始めるといいです。

コードネーム

プレイ人数:4〜8人(チーム戦)|プレイ時間:15〜30分|対象年齢:14歳以上

リーダーが1つの単語をヒントに出し、チームの仲間がそれに合う複数のキーワードを当てるゲームです。ワードバスケットが速さで勝負するのに対して、こちらはじっくり考えて、言葉と言葉のつながりを探します。同じ言葉のゲームでも、頭の使い方がまったく違います。

ito(イト)

プレイ人数:2〜10人|プレイ時間:20〜30分|対象年齢:8歳以上

手元の数字を言葉だけで表現して、全員で小さい順に並べる協力ゲームです。早い者勝ちのワードバスケットで場がピリッとしたあとに出すと、全員が同じ側に立つ空気になって、ちょうどいいバランスになります。

この学びを探求できるおすすめ書籍3選

『クリエイティブの授業』オースティン・クレオン

真似から始めていい、制約は創造の敵ではない、と説く本です。まとめで書いた「縛りがあるから言葉が出る」という感覚を、創作全般に広げて考えたい方に。薄くて1時間で読めます。

『アイデアのつくり方』ジェームス・W・ヤング

アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせである、と説いた古典です。ワードバスケットで「た」と「こ」をつなぐ言葉を探す作業は、まさに既存の要素を組み合わせる練習になっています。アイデアを手順で生み出す5つの段階が書かれています。

『語彙力こそが教養である』齋藤孝

語彙を増やすことは、物事を見る解像度を上げることだ、と説く本です。ワードバスケットで詰まったとき、「知っているのに出てこない」もどかしさを感じた方は多いと思います。言葉を知っていることと、使えることの違いについて考えるきっかけになります。

基本情報

正式名称:ワードバスケット
発売年:2002年
デザイナー:小林俊雄
販売元:メビウスゲームズ
プレイ人数:2〜8人
プレイ時間:約10分
対象年齢:10歳以上
内容物:カード60枚(ひらがなカード、行のワイルドカード、文字数のワイルドカード)

コトバのチカラ

自分に課す制約が多いほど、心を縛る鎖から自由になれる。

イーゴリ・ストラヴィンスキー


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