第15回【人脈作りのコツ】与えられるよりも与える人間になろう｜3ステップで理想の人脈を築く実践的手法

１．ポイント：あなたがギブできるものは？

今回の参考文献の著者熊谷氏は「若いうちは人脈を作る努力をしなくてもいい。それよりも自分が魅力的な人物になる努力をするほうがいい」と主張しています。

人脈とは、ビジネス上のギブ＆テイクがあってはじめて成立するもので、自分がギブできるものがない状態で、テイクしようと思っても相手にはしてもらえない。そのような状態での様々な交流会は、労多くして功少なしではないでしょうか。自分がギブできるものが多くなってくれば、人脈は自然とできてくるものです。

２．必要な準備

３．参考例：相手が求める人になるために

「やってみよう！」②では、その人の立場になって考えること。
「やってみよう！」③では、自分自身が「今日から」できることを考えること。

まずは、あなたが会いたい人、繋がりたい人は誰ですか？
上場企業の社長や◯◯業界に勤めている人、テレビに出るような有名人やユーチューバーかもしれません。

３−１．有名インフルエンサーと繋がりたい

例えば、有名人に会いたいと思っているのであれば、まずはその人がどういう人に会いたいと思っているか書き出してみましょう。

＜「やってみよう！」②＞
・ネット上で影響力のある人（＝インフルエンサー）
・動画コラボして面白そうな人
（＝自分のチャンネルの視聴回数が見込める人）
・マスコミ業界関係者
・資本家

そして書き出したような人になるために、自分は今日何を始めるかを考えましょう。

＜「やってみよう！」③＞
・ユーチューブチャンネルを立ち上げる
・SNSでバズりそうな企画を考えてみる
・マスコミ業界への転職（就職）を考える

３−２．社長と話したい

繋がりたい人の例が雲の上の人過ぎて極端なため、もう一例、年に1回程度しか会わない自社の社長と話をしたい、と思っている場合で考えてみましょう。

＜「やってみよう！」②＞
・幹部または幹部候補
・自社の課題解決をしてくれる人
・自社の業績貢献に大きく寄与した人
・win-winの関係になる他企業責任者
・社長が持てない知識スキル経験を持っている人

＜「やってみよう！」③＞
・自社の課題とは何か考える
・幹部に当たる人の課題解決をサポートする
・会社で自分が一番になれる分野を探す
・周りの人とは違う仕事の仕方をしてみる
・経営に関する書籍を読む

４．まとめ

ツイッターやインスタグラムなどのSNSを使っていると、簡単に「フォロー」することはできても「フォロワー」を増やすことは容易ではありません。それは「相手にとって自分自身がどれだけ魅力的な人物かどうか」がポイントで、それなくして人はついて来ないということです。年齢を積めばいろんな経験をするし、他人が持っていない自分の魅力的なものとは何かが分かってきます。

人脈を作るにあたり「与えられるよりも与える人間になることを念頭に置くこと」が、人脈作りのスタートラインに立つということに等しいのです。

今回はビジネスシーンでの人脈作りをイメージしましたが、「友達作りのための人脈作り」であっても考え方は同じです。相手にとって自分自身が魅力的に映っているかどうか。それはあなたの「お金」かもしれないし、「美貌」かもしれないし、「優しさや思いやり」かもしれません。どれであったとしても相手に魅力を与えていることには変わりありませんし、あなたがその人と友達になりたいと思うのであれば、それは既に可能です。

人脈作りの原理原則をよく考えてみましょう。

この記事を探求できるおすすめ書籍５選

『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代』アダム・グラント

全世界でベストセラー、この記事のテーマである「与えられるよりも与える人間になろう」を科学的に証明した世界的名著。ペンシルベニア大学ウォートン校教授で組織心理学者の著者が、人を「ギバー（与える人）」「テイカー（受け取る人)」「マッチャー（バランスを取る人）」の3タイプに分類し、最も成功するのはギバーであることを膨大なデータで実証します。この記事で触れている「自分がギブできるものがない状態で、テイクしようと思っても相手にはしてもらえない」というメッセージと一致する内容。「ゆるいつながりという人脈作り」「利益のパイを大きく増やす働き方」など、この記事の「人脈作りの原理原則」を深く理解できます。一橋大学教授・楠木建氏の監訳と解説で、日本のビジネスパーソンにも読みやすい一冊です。

『コミュ障でも5分で増やせる超人脈術』メンタリストDaiGo

内向的でコミュ障気味の著者が、次々とビジネスを成功させる秘訣を公開したベストセラー。この記事のテーマである「人脈を広げたいと思っている人」に向けて、科学的根拠に基づいたネットワーキングの技術を解説します。「外向的な成功者が語る『人脈術』は役に立たない」という著者の主張は、記事の「若いうちは人脈を作る努力をしなくてもいい。それよりも自分が魅力的な人物になる努力をするほうがいい」というメッセージと一致します。「スーパーコネクター」とつながる方法、「3人の友達」の作り方など、この記事のワークを科学的に裏付ける内容が満載です。内向的な人こそ読むべき、ストレスなく人脈を作る実践書です。

『「人的ネットワーク」づくりの教科書』グロービス経営大学院

グロービス経営大学院が、ビジネスパーソン800人超の調査結果から得た知見をもとに、人脈のつくり方とビジネスへの活かし方を体系化した決定版。この記事のテーマである「3ステップで理想の人脈を築く」を、「ネットワーキングの5つのレベル」として体系的に学べます。この記事の「会いたい人はどういう人に会いたいと思っているか」を考える手法を、より実践的に深掘り。「TAKEファーストでなく、GIVEの精神で行動する」という本書の主張は、この記事の「与える人間になること」と一致します。人見知り・引っ込み思案で人脈づくりが苦手な方にこそおすすめの、トレーニングで人脈力を上げる方法が学べる一冊です。

『人を動かす 改訂文庫版』デール・カーネギー

邦訳500万部突破、1936年の初版刊行以来90年近く読み継がれる歴史的ベストセラー。この記事のテーマである「人脈作りの原理原則」を、人間関係の不変の法則として学べる不朽の名著です。「人を動かす三原則」「人に好かれる六原則」は、この記事で触れている「相手にとって自分自身が魅力的に映っているかどうか」という本質を、具体的な行動として示してくれます。特に「誠実な関心を寄せる」「笑顔を忘れない」「相手の関心を見抜いて話題にする」といった原則は、この記事の「自分が魅力的な人物になる努力」を実践するための具体的な指針。人脈作りだけでなく、あらゆる人間関係の基礎を学べる必読の古典です。

『影響力の武器［第三版］ なぜ、人は動かされるのか』ロバート・B・チャルディーニ

世界的ベストセラー、社会心理学の不朽の名著。この記事で触れている「ギブ＆テイク」の心理メカニズムを、第2章「返報性」で科学的に解説しています。「人は何かをもらうと、お返しをしなければならないという気持ちになる」という返報性の法則は、この記事の「自分がギブできるものが多くなってくれば、人脈は自然とできてくる」というメッセージの心理学的根拠そのもの。人脈作りにおける「与える」ことの力を、返報性だけでなく、コミットメントと一貫性、社会的証明、好意、権威、希少性という6つの心理原則から深く理解できます。人脈作りを心理学の視点から学びたい方におすすめの名著です。

参考文献

熊谷正寿『20代で始める「夢設計図」-必ず“スピード成功”する5つの原則』大和書房‎、2005年