第44回【アイディアを実行しやすくする方法】即興劇に学ぼう|Yes…andルールで共同創造力を高め提案が通りやすくなる実践テクニック

アイディアを実行しやすくする方法
もんとり
もんとり

提案してもどうせ否定されて傷つくから提案なんてしない方がいいと思ってしまうことは、仕事においても家庭においても起こることです。せっかくいいアイディアや意見を持っているのに心の中に閉じ込めてしまっては何も変わらないし、お互いにとってもよいことではありません。少しでも自分自身が持っている考えを外にアウトプットし、心地よい環境作りをしましょう。

こんな人に読んでほしい

・温めているアイディアがある人
・誰かと一緒に何かを成し遂げたい人
・反論批判ばかりされる日々に疲れている人

やってみよう!

(推奨人数:4人以上〜偶数人数)

①相手の会話をすべて逆接で受けてみる。
②「しかし」「でもね」「だけど」でつなぐ。
③今度は相手の会話を受けたあとに逆接は使わないようにする。
④「いいね」「それでさ」「あとね」といった言葉でつなげていく。
⑤終わったあとにそれぞれ感想を述べ合う。

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1.ポイント:二人のアイディアにする

まずは相手の言っていることに「Yes」次は「and」

そのように平等な立場でアイディアを重ねていくことにより、「あなたのアイディア」「私のアイディア」ではなくて「二人のアイディア」になっていきます。 アイディアに所有感を持たせればそれは実行されやすくなります。

2.必要な準備

事前準備

何らかのテーマに基づき「こういうことをやってみたい」「こんなことできないかなぁ」というアイディアを事前に考えて持ち寄ること

用意するもの

なし

3.参考例:アイディアのテーマ

とは言っても、温めているアイディアなんてない!という人は多いと思いますが、逆にテーマを与えてみると実は考えていることがあったり、ふといいアイディアが浮かんできたりするので、いくつか以下の「やってみよう!」のためのテーマを参考にしてください。

・職場の雰囲気をよくするためのアイディア
・●●(業務)を効率化するアイディア
・新しいビジネスにつながるアイディア
・この週末を楽しく過ごすためのアイディア
・孤独をポジティブに捉えるアイディア
・子育てのストレスを解消するアイディア
・貯金・貯蓄ができるようになるアイディア

4.まとめ:即興劇のルールに学ぶ

今回の「Yes…and」は、即興劇(インプロ)の基本ルールです。即興劇とはその名のとおり台本なしの演技。即興劇をすることでアドリブに強くなったり、自信のある演技力を身につけることができます。

その即興劇では相手の言ったことをまずは受け入れることが基本のルール。そのルールに学び、今回の「やってみよう!」でも相手の話を受けて「でも」「しかし」ではなくて「そうだね」「それでさ」とつなげていく。それは相手からの提案への絶対的な同意や好意を示す必要はありません。そこから「私にもいいアイデアがあります」「いいね、他にも〜しよう」と話をつなげていくのです。

「っていうか」が口癖の人がいますが、本人は相手を全否定している意識は強くなく、どちらかというと自分のことをアピールしたい、分かってほしいという気持ちから出る言葉のようです。そういう人にも今回の「やってみよう!」を通して、会話の中の逆接が与える感情や、受け入れることで生まれる共同の喜びを感じてほしいと思います。

この記事を探求できるおすすめ書籍5選

『インプロであなたも「本番に強い人」になれる もう突然の出来事やプレッシャーに負けない!』池上奈生美・秋山桃里

この記事の参考文献として挙げている書籍そのものです!この本では、即興劇の技術をビジネスや日常生活に応用する方法が具体的に解説されています。この記事で紹介している「Yes…and」というルールの背景にある哲学や、相手の言ったことをまずは受け入れることの重要性を、演劇の現場からビジネスシーンまで幅広い実例とともに学べます。特に「突然の出来事やプレッシャーに強くなる」という視点は、この記事で伝えている「反論批判ばかりされる日々に疲れている人」への解決策として最適です。アドリブに強くなり、自信のある対応力を身につけるための具体的なエクササイズが満載です。

『インプロ教育:即興演劇は創造性を育てるか?』高尾隆

東京工業大学教授による、即興演劇と創造性の関係を学術的に探求した一冊です。この記事では「相手の言っていることにYes、次はand。そのように平等な立場でアイディアを重ねていく」という方法を紹介していますが、この本では世界的インプロの権威であるキース・ジョンストンの思想と実践を詳しく解説しています。博士論文とは思えないわかりやすさで、実際のワークショップの様子も紹介されており、この記事で提案しているワークショップをより深く理解し、発展させるための理論的基盤を提供してくれます。特に「大人は萎縮した子どもである」というキースの考え方は、提案しても否定されて傷つくという悩みを解消するヒントになります。

『アイデアが実り続ける「場」のデザイン 新規事業が生まれる組織をつくる6つのアプローチ』小田裕和

新規事業やイノベーションを生み出す組織作りのための、実践的なデザイン手法を解説した一冊です。この記事では「アイディアを重ねていくことにより、あなたのアイディア、私のアイディアではなくて二人のアイディアになっていく」という共同創造の重要性を伝えていますが、この本ではそうした創造的な対話を組織に根付かせるための具体的なアプローチを学べます。問いかけの作法、リサーチ・ドリブン・イノベーション、場のデザインといった最新の組織開発の理論と実践が詰まっており、この記事で紹介している「温めているアイディアがある人」「誰かと一緒に何かを成し遂げたい人」にとって、そのアイディアを組織の中で実現していくための戦略的な方法論を提供してくれます。

『アイデアのつくり方』ジェームス・W・ヤング

広告業界の伝説的クリエイターによる、アイディア創出の普遍的な原則を説いた古典的名著です。この記事では「温めているアイディアを事前に考えて持ち寄る」というワークショップを提案していますが、この本ではアイディアとは既存の要素の新しい組み合わせであるという本質を学べます。60年以上読み継がれてきた超ロングセラーで、たった100ページ足らずの薄い本ながら、アイディアを生み出すための5つのステップが明快に示されています。この記事で紹介している「業務を効率化するアイディア」「新しいビジネスにつながるアイディア」などのテーマに取り組む前に、そもそもアイディアがどのように生まれるのかを理論的に理解することで、Yes…andのワークショップがより効果的になります。

ブライアント大学経営学教授による、チームや組織の創造力を目覚めさせる方法を説いた一冊です。この記事では「相手の言っていることにYes、次はand。平等な立場でアイディアを重ねていくことにより、あなたのアイディア、私のアイディアではなくて二人のアイディアになっていく」という共同創造の重要性を伝えていますが、この本では創造力の発揮を妨げる6つの思い込みを取り除くことがリーダーの役割だと説いています。特に「反論に関する思い込み」の章では、ブログで紹介されている「逆接(しかし、でもね、だけど)でつなぐ」ことの弊害と、「いいね、それでさ、あとね」といった受容的な言葉でつなげることの重要性を、学術的な観点から深掘りしています。とりあえず反論を出せば議論が活性化すると思い込んでいないか、という問いかけは、この記事のYes…andルールと一致する視点です。

参考文献

池上奈生美・秋山桃里著『インプロであなたも「本番に強い人」になれる もう突然の出来事やプレッシャーに負けない!』フォレスト出版、2005年

コトバのチカラ

私が大切にしているのは、何よりも人との接し方だ。戦術や戦略じゃない。会って話をしていて安心感があるとか、自分のためになるとか、そういうことが人と人とを結びつける。
田中角栄


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