第3回【アメリカ映画】マルホランド・ドライブ「10回以上観れる映画」

マルホランドドライブ
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トレーラー紹介

レビュー

私は今まで何百という映画を観てきましたが、この映画を超える映画に出会ったことがありません。私が映画好きになるきっかけになった映画だからかもしれませんが、それにしてもこれほど何度も見返した映画はありません。かと言って万人にお勧めできるかというとそうではない(←ここ大事)。映画はスッキリ爽快という人には絶対にお勧めできません。

私が初めてこの映画を観た後の感想は「え?どういうこと?」でした。登場人物の名前が途中で変わったり、ストーリー内の立場は変わったりで話がねじれるので劇中でも多くの「?」が頭の上に浮かびますが、とにかく不思議な世界に入り込んだ感覚に陥ります。その後、この映画を勧めてくれた私の恩師に見解を聞いたり、ネットで情報を漁ったりして、何度も見返し「あぁ、そういうことを表現しているのか」と理解に近づいていく。でもそれは何度観ても答えのようで答えではないような感覚のまま・・・。

この映画の舞台はアメリカ・ロサンゼルス、そしてハリウッド。ハリウッドと聞くだけで華やかな世界を想像しますが、そこに映し出されるのは光と闇。デイビッド・リンチ監督のその描き方、表現の仕方がとても秀逸で吸い込まれます。そして主演のナオミ・ワッツの演技力の凄さ、この映画からナオミ・ワッツは大きく躍進し、日本で公開されるいろんな洋画で彼女を観るようになります。

私がこの映画を初めて観たのが2003年、今から20年ほど前のこと。同年、ロサンゼルス・ハリウッド・ビバリーヒルズを直接訪れました。インターネットで情報は取れても、今ほど情報整備もスマホさえ普及していない時代。そこは夢の世界のようで、一方では売春婦や麻薬の影が潜む街だったことを記憶しています。まさにこの映画はその薄気味悪さを表現し、ある意味心地よい感覚、謎解きの楽しさも生み出しています

ちなみにこの映画の公開時受賞は上述しましたが、2010年にはフランスの「カイエ・デュ・シネマ」誌で「ここ10年の映画ベストワン」に、2016年にはイギリスのBBC放送で「21世紀の映画ベストワン」に選ばれています。

デイヴィッド・リンチによる10のヒント

①映画の冒頭に、特に注意を払うように。少なくとも2つの手がかりが、クレジットの前に現れている。
②赤いランプに注目せよ。
③アダム・ケシャーがオーディションを行っている映画のタイトルは?そのタイトルは再度誰かが言及するか?
④事故はひどいものだった。その事故が起きた場所に注目せよ。
⑤誰が鍵をくれたのか?なぜ?
⑥バスローブ、灰皿、コーヒーカップに注目せよ。
⑦クラブ・シレンシオで、彼女たちが感じたこと、気づいたこと、下した結論は?
⑧カミーラは才能のみで成功を勝ち取ったのか?
⑨Winkiesの裏にいる男の周囲で起きていることに注目せよ。
⑩ルース叔母さんはどこにいる?

映画の背景を読む

(1)マルホランド・ドライブは実在する?

マルホランド・ドライブ(Mulholland Dr.)はアメリカ合衆国ロサンゼルスにある実在する道です。1924年、LA市民が海や山へアクセスしやすいようにと造られた道路で、長さは約88.5kmあります。グリフィス天文台やハリウッドサイン、ダウンタウンが一望できるスポットもあります。ドライブをしながら夜景が観れるということもあり、劇中にあるように若者が車を飛ばすこともあるとか。

(2)ナオミ・ワッツという女優

ナオミ・ワッツ(Naomi Ellen Watts, 1968年9月28日)はイギリス出身の女優。ナオミという名前なので日本と関係が?と思うかもしれませんが、全く関係ありません。ナオミ(Naomi)は旧約聖書にも出てくる名前なので世界中で使われています。ナオミ・キャンベル(Naomi Elaine Campbell)もナオミですね。

ナオミ・ワッツの主な出演映画は『ザ・リング』『21グラム』『キング・コング』が日本では有名です。

(3)オーディションスタジオで歌われる曲のタイトルは?

マツコの知らない世界のオープニング曲でもお馴染みのこの曲のタイトルは、”I’ve Told Every Little Star”(星に語れば)です。元々は1932年のミュージカル映画に使われた曲ですが、1961年にリンダ・スコット(Linda Scott/1945-)によってリリースされました。男の子に告白できなかった乙女の切ない恋心を歌った曲です。

基本情報

ジャンル:ドラマ、ミステリー、スリラー
公開:2002年
時間:2時間26分
監督:デイヴィッド・リンチ
出演:ナオミ・ワッツ、ローラ・ハリング
受賞歴:第54回カンヌ国際映画祭監督賞
興行収入:$20,117,339(2012年)

コトバのチカラ

昼の光に、夜の闇の深さが分かるものか。
ニーチェ

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