
「既知のものを完璧に磨き上げても富は生まれず、 未知のものを不完全に把握したときに富は生まれる」『WIRED』創刊編集長のケヴィン・ケリー氏はこのように言っています。どんな時代であってもイノベーションが求められ続けているのです。
・新しい取り組みを社員に考えてほしい経営者
・自発的な社員を創りたい社員教育担当者
・社員の評価指標を考える人事責任者
(推奨人数:組織全員)
①今年の社内イノベーション大賞にノミネートしたい人を投票する。
(どんな小さなことでもいいので、今年社内で何か新しいことをはじめた人)
②全員投票し終わったら発表する。
③イノベーション大賞を選出する。
1.ポイント:まずは組織に心理的安全性を
まず初めに、組織の中にイノベーションを生み出そうとする時、その組織が失敗を許さないような環境ではイノベーションなど生まれるはずもありません。ちょっとしたことでもいいから、何か新しいことをやってみよう!という制度や評価軸、経営陣の発言などで社員に「新しいことやってもいいんだ」という安心を与える必要があります。
心理的安全性(psychological safety)という言葉があります。組織の中で自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態のことで「チームの他のメンバーが自分の発言を拒絶したり、罰したりしないと確信できる状態」と定義されています。イノベーションを生み出すために、組織内の心理的安全性の土台があるか確かめてみましょう。
もし心理的安全性が確保できていない状態であれば、下記のことをまずやってみることをお勧めします。
(1)安心して雑談や対話が生まれる機会を作ること
(2)会議などで特定の人に偏らず発言できるようにすること
(3)共通した価値観を持つこと
(4)相手を尊重しながら対等に自分の要望や感情を伝えること(アサーティブ・コミュニケーション)
(5)職場以外の場所で交流する機会を作ること
2.必要な準備
年度始めにイノベーション大賞の主旨を説明しておくこと。
・投票用紙
・投票箱
・ペン
・賞品
3.参考例:小さなことから始めよう
歳を重ねたり、役職についたりしていくと、とても大きなことをしなくてはいけないと思いがちですが、そんなことはありません。基本的に人は変化を嫌うものです。小さなことでもちょっと新しいやり方でやってみよう!と第一歩を踏み出すことからイノベーションは起こります。
例えばこういうことだってOKです。
・社内美化のため、チームで清掃の時間を作った
・誰よりも大きな声で挨拶をし始めた
・就業時間外に自発的な勉強会を立ち上げた
・新しい営業手法を取り入れた
・過去のデータを収集して分析につなげた
・業界の関連ニュースを朝礼で共有し始めた
・自己研鑽の一環で仕事に関連する資格を取得した
4.まとめ
今回参考文献の著者トム・ピーターズは「失敗とは、大目に見るべきものじゃない。奨励すべきものなのだ」「成功したいなら、失敗するしかない。大成功したいなら大失敗するしかない。どんどん転べ。ころんだら起き上がれ。起き上ったら、もう一度やってみろ。起き上ったら、すぐにだ!」と言ってます。また、「初めてそれをやった人の名前は覚えられるが、それを完璧にした人の名前は誰にも記憶されることはない」という人もいます。
とにかく、失敗を恐れないこと。会社としても新しいことができる環境作りからバックアップをすることで、徐々に小さな変化が起こり、大きなイノベーションにつながることは間違いないでしょう。私たちは常に「これは不完全ながらも、本来こうあるべきではないか」と最初に世に問い続けることが必要なのです。
この記事を探求できるおすすめ書籍5選
『恐れのない組織―「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす』エイミー・C・エドモンドソン
日本の人事部主催HRアワード2021書籍部門優秀賞受賞。この記事のテーマである「心理的安全性」の概念を生み出したハーバード大教授による決定版です。この記事で触れている「組織が失敗を許さないような環境ではイノベーションなど生まれるはずもない」というメッセージを、ピクサー、フォルクスワーゲン、福島原発など様々な事例から深く理解できます。Googleのプロジェクト・アリストテレスが「心理的安全性が高いチームが最も生産的」と結論づけた研究の理論的背景がここにあります。この記事の「失敗を恐れないこと」「新しいことやってもいいんだという安心を与える」というアプローチを、科学的エビデンスで裏付けてくれる必読書。2011年以来、経営思想家ランキング「Thinkers50」に選出され続ける著者による、イノベーションを生む組織づくりのバイブルです。『心理的安全性のつくりかた』石井遼介
読者が選ぶビジネス書グランプリ「マネジメント部門賞」、HRアワード2021書籍部門「優秀賞」をダブル受賞した日本発の実践書。この記事のテーマである「組織内の心理的安全性の土台があるか確かめる」を、具体的な計測尺度・組織診断サーベイで実現します。この記事で紹介している5つの実践法(雑談や対話の機会、発言の偏り解消、共通した価値観、アサーティブ・コミュニケーション、職場以外の交流)を、「理解編」「マインドセット編」「実践編」の3部構成でより深く学べます。著者は日本オリンピック委員会より委嘱され、オリンピック医・科学スタッフも務めた研究者。この記事の「小さなことでもちょっと新しいやり方でやってみよう」というメッセージを、日本企業で実践するための最適な一冊です。34刷・17万部を超える大ベストセラー。『イノベーションのジレンマ 増補改訂版』クレイトン・クリステンセン
ハーバード・ビジネススクール教授による、イノベーション理論の古典的名著。この記事で触れている「既知のものを完璧に磨き上げても富は生まれず、未知のものを不完全に把握したときに富は生まれる」というメッセージの本質を、「破壊的イノベーション」という概念で深く理解できます。なぜ優良企業が失敗するのか、なぜ新しい取り組みが既存組織では生まれにくいのかを、豊富な事例とともに解説。この記事で紹介している「イノベーション大賞」のような取り組みが、なぜ組織にとって重要なのかを理論的に裏付けてくれます。「初めてそれをやった人の名前は覚えられるが、それを完璧にした人の名前は誰にも記憶されることはない」というこの記事の引用と一致する視点を提供する必読書です。『両利きの経営「二兎を追う」戦略が未来を切り拓く』チャールズ・A・オライリー、マイケル・L・タッシュマン
世界で主流のイノベーション理論を日本に紹介したベストセラー。この記事のテーマである「小さな変化から大きなイノベーションを生み出す」を、「深化(既存事業の改善)」と「探索(新規事業の開拓)」の両立という視点から学べます。この記事で触れている「小さなことでもちょっと新しいやり方でやってみよう」という姿勢を、組織としてどう制度化するかを豊富な事例とともに解説。「失敗を奨励すべきもの」というこの記事の参考文献トム・ピーターズのメッセージを、経営戦略として実現する方法が満載です。一橋大学ビジネススクール教授・入山章栄氏の監訳・解説で、日本企業にも応用しやすい内容になっています。『イノベーションと企業家精神【エッセンシャル版】』P・F・ドラッカー
経営学の巨人ドラッカーによる、イノベーションの実践書。この記事で触れている「イノベーションが富を生む」というテーマを、ドラッカーは「イノベーションとは知識である」と定義し、体系的に解説します。この記事の「社内イノベーション大賞にノミネートしたい人を投票する」というアプローチは、本書で説かれる「イノベーションの機会を体系的に探す」という考え方そのもの。「社内美化のためチームで清掃の時間を作った」「誰よりも大きな声で挨拶をし始めた」といったこの記事の小さな例を、ドラッカーは「成功するイノベーションは単純明快でなければならない」という原則で支持します。この記事のテーマである「小さなことから始めよう」を、経営の視点から深く理解できる名著です。参考文献
トム・ピーターズ『トム・ピーターズの起死回生』阪急コミュニケーションズ、1998年
天才たる第一の刻印とは、完璧さにでなく、フロンティアを開拓する独創性にある。
アーサー・ケストラー(ユダヤ人ジャーナリスト、1905-1983)

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