
あれもやらないと、これもやらないと、と日常を送っていると、やり終えたときに一時の達成感はあっても義務をこなした感の方が強く残ります。目標設定のときに「貢献」に焦点を置くことでちょっと先の景色を見ることができるでしょう。
・高いレベルの目標を掲げたい人
・社員の目標設定に関わる人
・目の前のことで精一杯な人
(推奨人数:3人以上)
①「今、業務上、自分は何をすべきか」を書き出してもらう。
②全員書き終わったら次に「今、業務上、自分はどのような貢献をすべきか」を書き出してもらう。
③最初に書き出したものと、その次に書き出したものの違いを議論してみる。
1.ポイント:貢献は上向きのエネルギー
何をすべきか、どうするべきか・・・。そうした質問には下に向かうエネルギーがある。ドラッカー教授はそれよりも「自分がどう貢献できるか?」という質問に集中すべき、と提唱している。
貢献とは与える精神であり、そこには自分の部署や、能力から来るしばりは関係ない。より高いレベルの目標に対して自分が何をすることができるか。そこには上向きのエネルギーがある。
自社として、チームとして、どういう貢献ができるでしょうか、という質問を効果的に使えるようになりましょう。
2.必要な準備
なし
・「何をすべきか」「どのような貢献をすべきか」それぞれを書くことができる用紙
・ペン
3.参考例:貢献を考えて取り組む
「何をすべきか」を考えると、
・ルーティンでこなしている事務業務
・お客様の質問への回答
・クレーム対応
などが主となって出てくることでしょう。
それを「どのような貢献をすべきか」を考えると、
・正確に効率よくルーティン業務を行うこと
・お客様の質問にプラスアルファで答えること
・クレームを起こさない仕組み作り
といった少し先にすべきことが見えてきます。
「貢献」を考えるだけで、やらされていることだけでなく主体的な視点に切り替わるのがよく分かります。
4.まとめ
アルフレッド・アドラーの言葉に
相手から感謝されることや、
ほめられることは不要である。
貢献感は「自己満足」でいいのだ。
というものがあります。
相手からの感謝や評価がないと貢献感を感じられないのであれば、常に相手に依存した形で自己が存在することになります。誰から褒められるわけではないけれど、自分の行動が誰かの役に立っていると感じることこそが本来の貢献感です。
人として正しいことをし続けることがとても大切で、そこから生まれる貢献感に幸せを感じることができれば「貢献」という言葉の捉え方もさらに良い方に変わっていくでしょう。
参考文献
P.F.ドラッカー『ドラッカー 365の金言』ダイヤモンド社、2005年
貢献に焦点を合わせることが、仕事の内容、水準、影響力において、あるいは上司、同僚、部下との関係において、さらには会議や報告の利用において成果をあげる鍵である。
ピーター・ドラッカー
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