第50回【美術館を100倍楽しむ方法】自分だけの答えを見つけよう

美術館を100倍楽しむ方法
もんとり
もんとり

皆さんは「美術」の授業は好きでしたか?小学校の授業では絵を描いたり物を作ったりするのは好きだったけど、中学生になると途端に苦手になった人も多いのではないでしょうか?そうなると大人になって美術館に行く選択肢はなくなります。しかし「美術」から学べることは今の現代社会において必要不可欠であり、「ものの見方」を変えればその楽しさにも気づくことができます。

こんな人に読んでほしい

・美術館を楽しみたい人
・美術の授業が苦手だった人
・アート思考を学びたい人

やってみよう!

(推奨人数:3人以上)

①1つの美術作品を用意する。
②作品を見て気づいたことや感じたことを声に出したり、紙に書き出してみる。(作品の背景や説明は見ないこと)
③複数人でやる場合はそれぞれ気づきを発表する。
④他の人と自分との視点の違いを書き留めてみる。

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1.ポイント:アウトプット鑑賞をしてみよう

今回は美術講師や東京学芸大の個人研究員でもある末永幸歩さんの著書『13歳からのアート思考』を参考にしています。正直な話、私も絵を描くのは苦手ですし、美術館に行って作品を見ても解説を読んでふーんというくらいにしか興味がありませんでしたが、この書籍を読んでからは美術作品を見る目が変わりました。

「アウトプット鑑賞」は自分自身の目を使って作品と向き合うアート思考をするための入り口の鑑賞方法です。どんな小さなことでもよいので、気づいたことを声に出したり、紙に書いたりしてアウトプットしていきます。

この鑑賞の良さは漠然と作品を眺めるよりもはるかに「よく見る」ことができることです。そして複数人でアウトプット鑑賞をすることで、自分自身では思い至らなかった新しい気づきが生まれることになります。

アウトプット鑑賞をしよう

アウトプット鑑賞をするときは、その作品の背景や作者のことなど解説をすぐに見るのはやめましょう。美術館では簡単な作品の説明や音声ガイドが用意されているところも多いですが、まずは何もなしで作品と向き合いましょう。

2.必要な準備

事前準備

美術作品を数点用意しておく。

用意するもの

気づきを書くことができる紙とペン

3.参考例:アウトプット鑑賞を膨らませよう

本書でも冒頭で紹介されているクロード・モネ(1840-1926)の『睡蓮』です。このような美術館でも展示されているような作品を探してみましょう。

睡蓮(クロード・モネ)

アウトプット鑑賞が済み全員の発表が終わったら、鑑賞をもう1段面白くする方法があります。それは次の2つのシンプルな問いかけをしてみることです。

(1)どこからそう思う?

主観的に感じた「意見」の根拠となる「事実」を問うこと

例えば、ある絵画を見て「明るくて心地よい」というあなたが主観的に抱いたアウトプットが出てきたとすると、「どこからそう思う?」と問いかけます。すると「この鮮やかな黄色の部分」とか「この人の表情が笑っているから」とか、その作品の「事実」をアウトプットすることにつながり、自分の意見がどこから生まれたのか、はっきり認識することができます。

(2)そこからどう思う?

作品内の「事実」から主観的に感じた「意見」を問うこと

「そこからどう思う?」という問いかけは(1)の逆です。例えば「いろんな植物が描かれている」という作品内の事実がアウトプットされたとすると、「そこからどう思う?」と問うことで「色鮮やかで元気が出てくる」とか「この植物の名前を知りたい」とかいう感想が生まれてきます。これはあなたが主観的に感じた「意見」であり、あなたなりの「ものの見方」に基づいてアウトプットされた「自分なりの答え」です。

このように「感じた意見」に対して「発見した事実」を、「事実」に対して「意見」をアウトプットすることが、よりアート思考に近づく秘訣です。

4.まとめ:VUCAワールドに生きる私たちに大切なこと

現代社会は「VUCA(ブーカ)ワールド」と形容されます。VUCAとは「Volatility=変動」「Uncertainty=不確実」「Complexity=複雑」「Ambiguity=曖昧」の頭文字を取った造語で、あらゆる変化の幅も速さも方向もバラバラで、世界の見通しがきかなくなったということを意味しています。

一昔前までは社会の中で答えを見つけていくことが成功への道で「正解を見つける能力」こそが求められていました。しかし、今のVUCA社会においては答えを見つけても、一つのテクノロジーが社会の枠組みを丸ごと変えてしまうことすら起きうるため、新しい答えを見つけることは不可能に近く無意味になりつつあります。

このレールに従っていれば大丈夫!これさえやっておけば正解だ!ということが期待できない今大切なことは、人生のさまざまな局面で「自分なりの答えを作る能力」を鍛えることです。

私たちの周りにはたくさんの物や情報が溢れ、私たちはそれを取捨選択しながら便利に生活をしている一方で、答えがすぐに調べられることで、自分だけのものの見方や考え方が喪失しています。流行りの物を手に入れ、みんなと同じようなものに囲まれている。高評価のお店でみんなと同じものを食べて喜んでいる。ネットニュースやSNSで世界を知った気分になっている。LINEで人と会話しただけでコミュニケーションの本質を掴んだと思っている・・・。

最近「自分なりの視点」で物事を考えた記憶を振り返ってみてください。もしそれが思い浮かばないのであれば、今こそ「美術」という観点からアート思考を学ぶことで、今からの社会を生き抜くヒントになることでしょう。

参考文献

末永幸歩『「自分だけの答え」が見つかる13歳からのアート思考』ダイヤモンド社、2020年

コトバのチカラ

すべての子どもはアーティストである。問題なのは、どうすれば大人になったときにもアーティストのままでいられるかだ。
パブロ・ピカソ

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