第52回【ユーモアを武器にする】楽しむことに集中しよう|陽気さのマインドセットで職場の人間関係が変わる実践法

ユーモアを武器にする
もんとり
もんとり

あなたの身近にユーモアがある人はいますか?辞書で調べるとユーモアとは、「人間生活ににじみ出る、おかしみ。上品なしゃれ。人生の矛盾・滑稽などを、人間共通の弱点として寛大な態度でながめ楽しむ気持ち」とあります。ユーモアがある人がいると、ちょっとしたことで場の空気が穏やかになったり、気持ちが落ち着いたりしますよね。今回はそのユーモアの大切さについて考えてみましょう。

こんな人に読んでほしい

・ユーモアの大切さを知りたい人
・相手に親しみやすい印象を与えたい人
・創造性や生産性の高い組織を作りたい人

やってみよう

①最近、腹の底から笑ったことを思い出してみる。
②日常生活で、あなたを一番笑わせるのは誰か考えてみる。
(一番笑わせる出来事でもよい)
③最近、あなたが誰かを笑わせたのはいつか思い出してみる。
④あなたの周りで一番面白いと思うのは誰か考えてみる。
⑤あなたの周りであなたのユーモアを分かってくれる人は誰か考えてみる。
⑥①〜⑤の問いからどんなことに気づいたか、驚いたか、疑問が出てきたかアウトプットしてみる。

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1.ポイント:陽気さのマインドセットを活性化する

「ユーモア」という言葉を聞いただけで、パニックになってしまう人もいます。ユーモアは天性のものだ、ユーモアなんて人を笑わせるだけで私には無用なものだ、と感じる人も多いことでしょう。

今回はジェニファー・アーカー『ユーモアは最強の武器である』を参考に、スタンフォード大学のビジネススクールでも講義が行われるユーモアの力について考えてみましょう。

アメリカの世論調査会社ギャラップの調査によると、人々が1日に笑い微笑む回数は、23歳ごろから急激に減り始めることが明らかになっています。平均的な4歳児は1日に300回も笑うのに、大人になって働き始めると急に陽気さが失われ真面目な人になってしまう。業績や期限に追われている職場ではますます遊び心も抑制され、職場での人付き合いもどこに地雷が潜んでいるか分からないため、誰しも危ない真似はしないようになります。

ユーモアを武器にする

その結果、ほとんどの人は無味乾燥な、慎重かつプロフェッショナルなやりとりに終始してしまう。私たちの職場に必要なことは、そんなプロ意識ではなく、もっと自分らしく振る舞うことや、もっと人間らしいつながり、心のふれあいではないでしょうか。

みんながつながる瞬間を生み出すこと。「陽気さのマインドセット(心構え)」があれば、人間関係やその場の雰囲気ががらっと変わることもあります。陽気さは人が生まれもった基本的な能力であり、体を動かすことと同じように、世の中に対して自然に、無意識に向き合っていく態度に関係しています。

あなたが本来持ち得ている陽気さのマインドセットを活性化させ、気軽にユーモアを使えるようになるために、今回の「やってみよう」をやって第一歩を踏み出してください。

2.必要な準備

事前準備

なし

用意するもの

もし「やってみよう」の問いへの答えに手こずる場合は、友人や家族や同僚に頼んで、答えを一緒に考えてみましょう。

3.参考例:ユーモアに対する4つの思い込み

なぜ職場でユーモアを発揮しにくいのかの調査から、以下の4つの思い込みが浮き彫りにされました。

(1)ビジネスは真面目であるべき

数百名のエクゼクティブ・リーダーを対象に行なわれた調査によると、回答者の98%は「ユーモアセンスのある従業員を好む」と答え、84%は「ユーモアセンスのある従業員のほうが、仕事ができると思う」と答えています。

一方で「リーダーにどんな特徴があると、信頼できる人だと思いますか」という従業員への問いに対し、もっとも多かった回答は、「障害を乗り越えてきた人であること」「ふつうの人のように話すこと」で、いまどきの従業員たちはもっと飾り気のない、人間らしいリーダーを求めていることがわかります。

ユーモアを武器にする02

アメリカ第34代大統領アイゼンハワーは「リーダーシップにも、人びととうまくやっていくためにも、ものごとを成し遂げるためにも、ユーモアセンスは欠かせない」と言っています。ユーモアには様々な効用があることが窺えますね。

(2)面白いことを言ってもうけない

面白いことを言ったって、うけないに違いないという根深く強い恐怖心があります。しかし、うけない場合の原因は一様ではないし、笑いを取ったからといってそれが必ず「成功」したともいえません。面白いかどうかよりも、その場においてそのユーモアが適切であったかがどうかが相手に好印象を与えるポイントになります。

(3)面白いことを言わないといけない

面白いことよりもはるかに重要なことは、自分にユーモアのセンスがあることを相手に伝えることです。ある研究で、ユーモアのセンスがあるマネージャーたちは、そうでないマネージャーたちに比べて、部下たちに尊敬される割合が23%、一緒に働くのが楽しいと思われる割合が25%、親しみやすいと思われる割合が17%高いことがわかっています。

では、どのようにセンスを伝えるのかというと、そんなに難しいことではなく、ただにっこり微笑んだり、他の人のジョークを聞いて笑ったり、パッと場を和ませるようなことを言ったりする些細なことでよいのです。

(4)生まれつきの才能

ユーモアは天賦の才であって、学んで身につけるものではないと思っている人が多いがそれは違います。ユーモアは「あり」「なし」で決まるものではなく、トレーニングと実践によって強化されるスキルなのです。

4.まとめ:楽しむことに集中すること

ユーモアセンスを磨くために「面白くならなくては」「面白くなろう」とすることを成果にしてはいけません。心は集中すべきものを見つけるので、「面白くなること」に意識を集中せず、「楽しむこと」に集中しましょう。

今回の参考文献『ユーモアは最強の武器である』を読めば、自分自身のユーモアのタイプや脳科学、仕事での活かし方やリーダーシップ、陽気な職場での文化作りなどを学ぶことができます。

ユーモアについていろんなことを学んだあとは、あまりそれにとらわれずに、世の中に対する自分の見方を変えてみることです。物の見方が変われば、他のあらゆる点で人生がよりよく豊かになっていくことでしょう。

自分自身の喜びや楽しさを感じる状態を知るために、今回の「やってみよう」を活用してください。自分自身が陽気さを意識的に感じれるようになれば、気軽にユーモアを扱う準備は万全です!

この記事を探求できるおすすめ書籍5選

『ユーモアは最強の武器である スタンフォード大学ビジネススクール人気講義』ジェニファー・アーカー、ナオミ・バグドナス

この記事の参考文献として挙げている書籍そのものです!スタンフォード大学ビジネススクールの行動心理学者ジェニファー・アーカーによる、ユーモアの科学的効用を説いた全米ベストセラーです。この記事で紹介している「陽気さのマインドセット」や「ユーモアに対する4つの思い込み」は、まさにこの本の核心部分です。特に「平均的な4歳児は1日に300回も笑うのに、大人になって働き始めると急に陽気さが失われる」というデータや、「回答者の98%はユーモアセンスのある従業員を好む」という調査結果など、この記事で伝えている内容の理論的裏付けが豊富に示されています。エリック・シュミット(Google元CEO)、ティム・ブラウン(IDEO会長)も絶賛し、アップル、ピクサー、グーグルなどクリエイティブな企業が何よりもユーモアを大切にしていることが具体例とともに学べます。

『笑いとユーモアの心理学:何が可笑しいの?』雨宮俊彦

心理学者による、笑いとユーモアの本質を学術的に探求した一冊です。この記事では「ユーモアは天賦の才であって、学んで身につけるものではないと思っている人が多いがそれは違います。ユーモアはトレーニングと実践によって強化されるスキルなのです」と伝えていますが、この本では古典的な知見から最新の研究成果までを参照して、笑いとユーモアという多面的で複雑な現象の全体像を捉えるための基本的な枠組みと視点を提示しています。くすぐりやじゃれ遊びから、からかいやジョークまで、多種多様な可笑しさの系譜を探り、ユーモアに関する15の理論を概観。笑いとユーモアを感情として位置づけ、心身の健康や社会関係などに与える効用についても考察しており、この記事で伝えている「楽しむことに集中する」ための科学的基盤を学べます。

『おもしろい人が無意識にしている 神雑談力』中北朋宏

元芸人から人事系コンサルティング会社でNo.1となり、その後起業した著者による、笑いの力で組織を変える新感覚の人間関係構築メソッドです。この記事では「ユーモアセンスがあるマネージャーたちは、そうでないマネージャーたちに比べて、部下たちに尊敬される割合が23%、一緒に働くのが楽しいと思われる割合が25%、親しみやすいと思われる割合が17%高い」というデータを紹介していますが、この本ではまさにその「親しみやすさ」「一緒に働きたいと思われる力」を日常の雑談を通じて身につける方法を解説しています。特に「にっこり微笑んだり、他の人のジョークを聞いて笑ったり、パッと場を和ませるようなことを言ったりする些細なこと」というこの記事のメッセージと一致する実践的なテクニックが満載です。コメディケーションというサービスで約260社、2万6000名以上に笑いの力を届けてきた著者の知見が詰まっています。

『心理的安全性のつくりかた』石井遼介

組織開発の専門家による、チームの生産性を高める心理的安全性の構築方法を解説したベストセラーです。この記事では「職場では誰しも危ない真似はしないようになり、ほとんどの人は無味乾燥な、慎重かつプロフェッショナルなやりとりに終始してしまう。私たちの職場に必要なことは、もっと自分らしく振る舞うことや、もっと人間らしいつながり、心のふれあいではないでしょうか」と伝えていますが、この本ではまさにその「心理的安全性」を科学的に構築する方法を、測定方法、具体的な施策、リーダーシップとともに解説しています。ユーモアは心理的安全性を高める重要な要素であり、この記事で提案している「楽しむことに集中すること」「陽気さのマインドセットを活性化する」アプローチを、組織づくりの文脈で実践できるようになります。

『おもろい話し方 芸人だけが知っているウケる会話の法則』芝山大補

元芸人で現在はネタ作家として芸人300組以上のネタ制作に携わってきた著者による、2022年6月発売の人気書籍です。この記事では「にっこり微笑んだり、他の人のジョークを聞いて笑ったり、パッと場を和ませるようなことを言ったりする些細なこと」というユーモアセンスの伝え方を紹介していますが、この本では芸人だけが知っている「ウケる会話のコツ」を具体的に解説しています。特に「中身のない話ほど人間関係を良くする」「会話のハードルを下げる」「トークの三種の神器(擬音、比較、自分の気持ち)」といった実践的なテクニックは、この記事で伝えている「陽気さのマインドセット」を日常会話の中で発揮する具体的な方法を教えてくれます。発売即重版となり、ブクログやブックライブなどで平均評価3.8〜4.0と高評価を得ている一冊です。ビジネスパーソンから一般の方まで幅広い層に支持されています。

参考文献

ジェニファー・アーカー『ユーモアは最強の武器である スタンフォード大学ビジネススクール人気講義』東洋経済新報社、2022年

コトバのチカラ

もし、私にユーモアがなければ、これほど長く苦しい戦いには耐えられなかったでしょう。
マハトマ・ガンジー


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