第47回【協力関係を維持する方法】まず相手の貢献を理解すること

協力関係を維持する方法
もんとり
もんとり

一つのチームの協力関係を良好に保ちたいとは誰もが思うことでしょう。チームとは決して職場関係に限らず、夫婦関係、恋人関係、親子関係、友達関係なども言わばチームです。一緒の空間でいくつものタスクをそのチームでこなしながら、チームの関係を維持するために、あなたはどれだけの努力をしているでしょうか?あなたが相手と比べて、あなたがこなしているのは何パーセントですか?

こんな人に読んでほしい

・人を動かす立場の人
・誰かとの関係維持に課題がある人
・自分の努力が認められないと感じている人

やってみよう!

(推奨人数:2人以上)

①同じチーム内でペアを作る。
②相手のために自分がこなしている努力をパーセンテージ化してみる。
③「相手がしてくれたことリスト」を作る。
④どういう気付きがあったかお互いに話をしてみる。

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1.ポイント:責任のバイアスとは

リンクトインの設立者リード・ホフマンは「悪気がなくても、人は自分の貢献を過大評価し、他人の貢献を過小評価する」と言っています。今回の「やってみよう!」における努力のパーセンテージ化では、往々にして2人の合計値は100%を超えます。このような、お互いに自分の貢献度合いを過大評価すること、相手の努力に対して自分の貢献を高く見積もることを「責任のバイアス」と呼びます。

では、なぜこういうことが起きるのでしょうか?

一つの要因は「受けとる情報量の差」があります。人は「相手がしてくれたこと」よりも、自分が「してあげたこと」に関する情報をより多く手に入れます。自分がした努力はすべて分かっているけれど、相手の努力については一部を見るだけ。分かっている情報量の多い自分のことが、相手よりも高い位置にいると感じるのは当然でしょう。

もう一つの要因は「自分自身をよく見せたい」という思いがあります。真っ先に自分の利益を優先させる人が犯しやすい誤りです。

このような「責任のバイアス」は、協力関係が失敗する大きな原因になります。そうならないように、お互いの貢献度を正しく判断するカギはないのでしょうか。それは、「相手がした貢献に注目すること」が助けになります。そのために、まず相手がしてくれたことをリストにしてみましょう、というのが今回の「やってみよう!」です。

2.必要な準備

事前準備

なし

用意するもの

・「相手がしてくれたことリスト」を書く紙
・ペン

3.参考例:「相手がしてくれたことリスト」の作り方

上司部下の関係性であれば、部下は上司からどのくらい助けられているか、上司は部下がいることでどれくらい助かっているか、目に見えるものだけでなく、自分がそばにいない時の景色も想像してみましょう。仮にその人がいなかったらあなた自身がしなくてはいけないことを思い浮かべると、想像は容易かもしれません。また、第三者でその人のことをよく知る人から、見えない所の話を聞くのも有効です。

4.まとめ:自分の失敗より人の失敗を大目に見る

どのような立場であれ、まず「自分はこんなにやっているのに!」と人間誰しもが思っていることだと認識しましょう。人との協力関係を良好に維持していくために心がけるべきは、「うまくいかないときは自分が責任を負い、うまくいっているときは、すぐにほかの人を褒めること」なのです。まずは相手の業績を認めること。誰もが自分も貢献できると思えるような雰囲気をあなた自身が作り出すことで、人はより学習意欲が高まり、より新しいことにチャレンジできるようになります。

「相手の立場になって考える」とはよく言いますが、いざ自分と比較したり、他者から評価されたりすると、そんな考慮の余地さえなくなります。だからこそ落ち着いて「相手がしてくれたことリスト」を見返し、相手にどう向き合えばよいかお互いが理解することが協力関係を維持し、チームとしての力を何倍にもすることでしょう。

参考文献

アダム・グラント『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代』三笠書房、2014年

コトバのチカラ

全世界は、一つのとるに足りない例外を除いて、他者で成り立っていることを忘れてはならない。
ジョン・アンドルー・ホームズ(元アメリカ下院議員、上院議員)

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